パリはとっても悲しかった。
物価は高いし,寒いし,人はすこぶる仏頂面で,宿もいっぱいで何軒も断られた。最後は,同様の境遇で宿が見つからない日本人二人とともにトリプル・タイプに辛うじて泊まることができた。なお,そのうちの一人は,大学受験で活用したのだろうか,英会話レッスン用のカセットテープを,かさばるほど持ち歩いてコミュニケーションに役立てようとしていた東大だった。
そして,ルーヴルとオルセーとポンピドゥーで3日間,昼間のすべてを芸術の街パリに費やしたものの,クリムトの毒牙にやられ,世紀末病に罹患した体に,更なる刺激・感動・鳥肌・さぶいぼ・さむさいぼ・ツベルクリン反応は,皆無だった。
夜,国営放送局で,公開録音があったので聴きに行った。それらの日程は,「パリの7日間」という情報誌で見つけることができる。曲もピアニストも知らなかった。現代音楽だ。気軽に,無料で,アポなしで聴けるなんて,しかし,豊かなことだ。帰り道,遠くの夜景にエッフェル塔があった。雨が降ってたかな,結構な旅情だった。
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日時:昭和63年3月11日(金)−同月13日(日)
撮影:PRAKTICA MTL5B, PENTACON auto 50mm F1.8 MC
ミロのヴィーナス |
同左 |
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モナ・リザ 上野に来たときには,こんなに悠長に観ていられなかった。 |
ドラクロワ |
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ルノワール |
ポンピドゥー・センター前広場 |
同左 |
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多目的展示場 バレンボイムのコンサートがあった。 |
エッフェル塔 |
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林檎,オレンジ,パン,ワイン,ゴッホ |